まどどブログ

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2022.02.24(残36日) ウクライナ情勢② / ロシアはなぜウクライナ侵攻を躊躇しないのか

2022.02.24

あと36日

 

 昨日もなんだかんだずっとウクライナ情勢に縛られていた。ずっと情報を吸収していた。仕方がないだろう。主権国家に対する堂々たる侵略など、私にとって初めての経験なのだから。

 もはやエスカレーションは極まっている。これからロシアが軍を撤退させたならば、もはや誰もが驚愕である。米帝の陰謀を疑ってしまうだろう。情勢は結局、そうなってしまった。

 

 それにしても、ロシア、というよりプーチンは流石に侵攻が上手だな、と感心したものである。もしかしたら、このときのためだけに、ロシアはずっと行動してきたのかもしれない、とまで夢想してしまうほどに。

 そもそもこれほどまでにスムーズに事を進められたのは何故か。それはもはや時世として国家間戦争を避けるような潮流に在るから。仮に戦前であれば、ロシアが進出した途端にドイツかポーランドアメリカか何かが同様に兵を進めて正面衝突、という流れに陥っていたであろう。しかしそうはしなかった。もはやそういう時代ではないから。外交交渉によって、国家間の課題というものは解決されるべきだと考えられているから。故にロシアは差し障り無く作戦を進行できた。ウクライナ軍以外に、誰も軍として動きはしないのであった。

 そして、国連ももはや機能不全である。常任理事国が侵攻して仕舞えば、もはや安保理は機能しない。例え「ウクライナをネオナチから解放する」という意味不明な動機であろうとも、拒否権を行使すれば安保理決議は基本的にすべて無効である。そうすれば、武力制裁のような厄介事は巻き起こらない。

 加えて言えば、侵攻を前にして、欧米諸国も一枚岩ではなかった。それは何故か。ロシアの資源に大きく依存しているから。例えば天然ガスEUは4割以上のそれをロシアからの輸入に頼っているらしい。しかも、今や天然ガスは電力という生活インフラにとって欠かせない重要な資源である。故に、EUは容易に天然ガスを拒絶できない。そして、その供給元であるロシアを、少なくとも不用意に敵に回したくはない。だからこそ、意見も割れ、ウクライナに対する支援にも色が出た。EUのインフラを握っているからこそ、ロシアは欧米諸国の右往左往を横目に、気軽に兵を進めることが出来た。

 恐らくプーチンは完全に読んでいる。国際世論は戦争回避に傾いている。誰もウクライナ軍を助けようとはしない。国連も機能させない。それに、欧米諸国もロシアに大きく逆らえない。だから、例えばポーランド軍が狂ってウクライナを支援して泥沼の大戦争に巻き込まれる、というような、少なくとも大規模な軍事的衝突は起こり得ない。故に侵攻すべきである。このような思考回路を持ってして、ウクライナへ侵攻するつもりになったのではないか。

 なお、明確な論拠は無いものの、プーチンはこれを狙って敢えて支離滅裂な発言をしているような気がしてならない。もとより武力侵攻が目的であった。しかし、それを早々に悟られると轟々たる批判に襲われる。国内の世論誘導も危うい。故に、軍を集めて挑発したり、侵攻の気を見せたり、かと思えば、少し外交交渉に意欲を見せたり。そうして諸外国を翻弄し、その間に軍事侵攻の手はずを着実に整え、「諸外国にいじめられている哀れな親露派を救出する」という国内向けプロパガンダも済ませる。そしてすべてが整った途端、「ウクライナは非主権国家」「ウクライナはネオナチ」という狂気を公言することで、もはや没交渉であるというメッセージを強く放つ。それだけに留まらず、呆けた老人のような発言によって面倒な外交との決別を誘う。仮にプーチンがまだ精悍な指導者であるならば、このくらいは考えていてもおかしくない。

 たぶん、コンセンサスを嘲笑うつもりだったのだろう。国家間抗争はなるべく武力を用いず、外交交渉によって解決する。領土獲得という野心は帝国主義的で時代遅れ。平和こそ正義。そのような常識が世界に広がっているからこそ、敢えて犠牲を少なくしてウクライナに侵攻できる、そうプーチンは踏んだのではないか。

 それにしても、兵站がよく持ったものだ。あと、国連憲章はじめ各種国際法に対する重大な挑戦というわけであるが、一体どうするつもりなのだろう。それに、そもそもブダペスト覚書はどうなったのか。また「核で攻撃してないからセーフ」と言うつもりなのか。

 

 さて、侵攻を加えたとする。今後について何を考えているのか。確かに大規模な軍事的衝突は起こり得ないかもしれない。しかし経済的損失は計り知れない。そもそもウクライナを占領すればその維持には多大な費用を要する。ウクライナへの侵攻は政権転覆のためであって、直接的な占領を目的としていないのかもしれない。それでも、最大輸出先たるEUを自ら捨てるような方策は狂気だし、比類なき制裁によってロシア経済は崩壊の可能性すら在る。何を考えているのであろうか。

 これについて私は、流石にプーチンが一定の正気を保っているという前提の下で、恐らく制裁について長続きしないか、ないし、離反する国家が現れるのではないか、と考えている可能性があると思う。前述のように、欧米諸国は未だロシア依存から脱却できていない。イタリアなどのように電力自給率の低い国も多い。その中で厳しく制裁を課した場合、当然天然ガスというのはジョーカーとして浮かび上がってくる。制裁対象としても浮かび上がってくるだろう。実際、ノルドストリーム2は承認手続きが停止されている。あれは単に建設されただけに留まっているが、ガスそのものに視線が移っても不思議ではない。そのとき、果たしてすべての国が完全に履行できるのであろうか。

 何が言いたいか。電力価格の高騰による国民の不満を、ロシアは狙っているのではないか。制裁というのは諸刃であって、欧米諸国の首をも締めることに繋がりかねない。仮に天然ガスの輸入を制限するような措置を採った場合、即ち発電量の減少に繋がり、インフラの維持に問題を発生させる。具体的には、電力価格が高騰する、ないし、電力発電量そのものの維持に支障を来す。電力価格の高騰は、この騒動と関連せず始まっている。それがさらに加速して、もはや生活すら覚束ない域になれば、当然、政府への不満は高まる。もしかしたら、ロシアとの制裁解除を求める声すら高まるかもしれない。自由主義も重要だが、民主主義が国民の意思を反映しているものである以上、国家はそれを無視できない。移民流入時、極右政権が誕生したように、親露政権が欧米諸国で誕生する可能性がある。それまで行かなくとも、もはやEUは限界であるとして、適当な言い分によって制裁を解除する可能性もある。

 書いていて思ったが、もはや十分な有効性を持つ制裁すら実行出来ないのかもしれない。ロシア最大の輸出先はEUであり、その中での最大の輸出品目は石油資源である。そして欧米諸国は脱却できないので、制裁もそれを除外する。故に貿易に大きな影響はもたらされない。その可能性すら考えられる。

 過去であれば、アメリカが圧倒的なリーダーシップによって強引に欧米諸国の足並みを揃えた可能性も考えられる。しかし、今のアメリカはもはや強大ではない。恐らく中国と同等程度の影響力しか持たない。そして、この先は更に弱まっていく。仮に限界を迎えたとして、もはやアメリカにEUを引き込む力などない。

 結論。少しばかり経済に痛手を追ったとしても、大きな武力制裁はないだろうし、やがて現状に戻る。それだけで、ウクライナも——そしてベラルーシも——手に入る。母なる大地キエフを手に入れた、偉大なる指導者として名を連ねる。それならオトクだ。侵攻しよう。

 プーチンは、このように考えているのかもしれない。いや、流石に理性くらい持っていて欲しい。いくらなんでも、勇ましき指導者が老碌して、エモーショナルな望郷の念だけを根拠に無辜の市民を虐げるなど、見ていて心地良いものではない。

 当然、そもそも「侵攻」を合理的と呼べるかはまた別の問題では在るが。ウクライナの転覆というものが、果たして国力を侵してまで成すべきことなのか、無知な私には判断できない。

 

 ところで、誰が天然ガスを欧米諸国に流行させたのだろうか?

 プーチンは、一体いつから母キエフへの帰還を考えていたのであろうか?

 妄想が止まらない。