2022.07.01
今日という日を以て、私の物語は序章を飾る。
もう少しだ。あと少し。ひと押しするだけで、私の境遇は大きく変わる。私は破滅へと突き進むこととなる。あと少し、たった少しだけ、背中を押されるだけで。
そして背中を押すのは、奈落に私を落とし込むのは、私自身である。そして私を動かすのは、私自身の覚悟である。飛び降りるという覚悟を。
どうだろう。もう固まっているのではなかろうか。橙に光る山と、天上都市と、青の世界を、私は確かに見てしまったのだから。
- 寝落ちとはセックスである
私はたびたび寝落ちする。そしてたびたび苦言を呈される。寝落ちなどしてはならない、と。
しかし私は言いたい。これは非常に奔放な行為であり、快楽に最も近いものである、と。そう、これは性的行為そのものなのだ。
よく「睡魔に襲われる」という表現が用いられる。睡魔とは襲うような者であろうか。私にとっては異なる。睡魔は下りてくるものである。そして、私を包み込むものである。脳の上部から徐々に痺れてくる。瞼が徐々に重みを増す。手足が徐々に意識の外へと離れていく。そして、徐々に眠りへと落ちていく。睡魔が襲うのではない。睡魔は私を包んでいる。
そしてこれは言うまでもなく、セックスである。睡魔と私とが交わっているのだから、これをセックスと言い表す他に適切な表現などあろうか。あるわけない。紛れもなく、この行為はセックスであり、奔放で快楽に満ちた行為なのだ。
それを禁止するとは。まさしく現代に跋扈する禁欲主義の申し子、と言わざるを得ない。フロムの指摘する通り、良心という内的権威に自己を従わせているのだ。哀れな。