2022.07.14
残念ながら、私は長生きできそうもない。
夢も希望も楽しみも、もう何もかも去ってしまった。労働によって心を壊されてしまったらしい。学生の頃にはあれほど期待に満ちていた世界も、恐ろしいことに、今の私には何も映らない。ただ、眼前には暗闇だけが広がっている。語義通りに。
労働とは死である、とはよく言ったもので、実際、私は労働によって殺され、もはやただ虚ろな生に息を繋ぐ不可解な存在と成り果ててしまった。何をする気にもならない。何をしても心は動かない。涙すら枯れた。情動そのものが、この私からは失われてしまった。
仰々しく言いおおせているつもりもない。ただ客観的事実として、夢も希望も楽しみも無い。悲しみすら無い。ただ、絶望のみが私の身体を支配する。
そして絶望した者はいずれ死ぬ。恐らく、私も同様に。
ああ、惜しまれることだ。不老不死の肉体を手に入れていたならば、絶望する必要すら無かっただろうに。
私はすべてを怨む。誰も彼も、何もかも。私は本来、末永く生きているべき存在なのだから。それを妨げたのは、貴方である。
さて、多くの部分で私は悲観していない。
並の人間が八十年かけてやっと会得する絶望を、私はたった二十年と少しで獲得できたのであるから、極めて効率的な人生であったと考えるべきであろう。
人生の濃度は——少なくとも凡人の中で——一様であり、私は非常に濃密な青春時代を過ごしたので、このような結末を迎えるのである。
バイキングでたらふく食いあげるのと、懐石で少量を徐々に食するのとでは、どちらが幸いであろうか。無論、前者である。