まどどブログ

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2022.09.08/02 歴史について

2022.09.08

そのに

 

  • 歴史は何か?

 私は歴史を愛していた。理由は簡単で、覚えれば良かったからだ。何がいつ、どのように起こり、結果としてどのようになったのか。その流れを覚えてさえいれば、血の滲むような努力もなく、安々と高得点を望める。その攻略の容易さが好きだった。

 だから私にとっては歴史とは文字であった。白村江の戦い応天門の変元弘の乱明治維新。その他もろもろ。すべてが文字であり、暗記対象であった。単なる出来事の羅列に過ぎなかった。それはあくまで得点のためであった。あるいは、新たな知識を得る快感のためであった。いずれにせよ、それは単なる、例えばゲームの設定のような、文字の上の出来事であると考えていた。人間から離れた出来事であると思っていた。

 

 しかしどうだろう。私は今、歴史を覚えている。安倍晋三の銃殺事件で思い知ったのだ。歴史は文字ではない。人間そのものであった。元首相、銃殺。この五文字は、五文字に留まるものではなかった。この五文字には、人々の動揺も、社会不安の増大も、盟友の悲嘆も、また遺族の哀傷も、何もかも含まれていた。

 私が愚かであった。歴史とはすべて、このようなものである。長屋王の変も、安和の変も、平治の乱も、二・二六事件も、すべてそこには人間が居て、人間の思いが渦巻いていた。むしろ、人間の夥しいまでの感情が蔓のように絡み合って、絡み合って、複雑に絡み合った末に歴史が形成されるのであった。歴史とは文字ではなかった。歴史とは人間であったのだ。

 

 それにしても、ああ、これが「社会不安の増大」であったか。出来れば、味わうことのないまま、不老不死の肉体を得てしまいたかった。