まどどブログ

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2022.09.20 人を決意させる些細な日常について

2022.09.20

 

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 恋の冷めるときというのは、ほんとうに些細なものが原因であると謂う。彼氏が茶碗に米粒を残したまま食事を終えた。彼女の携帯電話の待受画面が虫であった。髪が跳ねていた。化粧が崩れてアシンメトリーであった。服がなんか変であった。歯に何かが挟まっていた。唇が乾いていた。話し方が何だか気持ち悪くなった。などなど。無論、それが別れを決めるたった一つの要因、というものでも無いだろうが、案外、恋の終わりを告げる天使の知らせというものは、他者から見れば不可思議に思えるほど些細でくだらないものなのだ。

 そして恋に限らず、人が何かを決心するとき、その最終的な要因というのは取るに足らないものばかりである。小説を書き始めたのは、どうしようもなくつまらない映像作品を視聴して、これが商業として許されるのであれば私が何を書こうとも許されないわけがない、と考えたから。漫画家になろうと思ったのは、就職で失敗したとき、たまたま友人に漫画を見られて、たいそう褒められたから。音楽の道を進もうと思ったのは、偶然好きなアーティストが引退を宣言し、その最後の曲がどうにも自らの心境と重ねるものであったから。海外移住を決めたのは、たまたまSNSで知り合った現地人と意気投合してしまい、移住を強く勧められたから。その道を考えるまでには数多の葛藤があっただろうが、最終的にその道を選んでしまったのは、誰にでも起こりうるような、小さな日常のワンシーンを見てしまったから。そうして人間は、ほんの小さな出来事に人生を左右されてしまうのである。

 

 そしてこれは何も明るい事柄に限らない。家族と離れて暮らそうと考えている人間が、それを決心したのは、家族が冗談めいて言った、心無いほんの一言のせいであったのかもしれない。