2022.09.29
- アザラシと陰謀論の意外な関係性
アザラシほどハイエナに似た動物も居ない。むしろまったく別の生き物であるというほうが信じられない。特に眠っている顔、ぼんやりとしている顔、そして何かを食している顔。このような時、もはや何がアザラシで何がハイエナなのか、その区別すらつかない。彼らを識別することは難しい。あまりに愛らしくて。
翻って人間はどうか。ああ、人間は何にも似ていない。揶揄の対象として使われる猿にすら、殆ど似ていない。猿には猿なりの愛らしさがある。少なくとも耳は張っているし、毛もある。しかし人間には何もない。ひどいことだ。
このようにして、常識は破壊される。常識は一定の信頼性を得るが、それが明らかに正しいものであるとは限らない。少なくとも、自身の目で確かめたわけではないので、明らかに正しいと「自身の中で」知覚することが出来ない。人間はどこまでも主観的な生物であるから、自身において正しさを知覚できない場合、常識は公理ではなく命題であり、かつその命題が明らかに正しいとは言えない。
故に正しさを求めたいのであれば、自身に求めるべきである。それが客観的に正しいものと言えなくとも、自身の中で「正しい」と考えた時点で、もはやその世界はすべて正しい世界になる。人間は自身の目と脳を以てする他に、世界を識別できないのだから。
このような理屈で陰謀論は流行病のきらいを見せる。嘆かわしいが、我々にはどうすることも出来ない。我々と同様に、彼らに「正しさ」を付与しているのもまた彼ら自身の主観であり、主観は他の人間によって操作されない。
だって明らかにアザラシとハイエナは違う生物なんだから。