まどどブログ

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2022.11.24 『バッドガイズ』ミスター・ウルフについて⑨ / スネークへの想いについて

2022.11.24

 

 

  • ウルフはやっぱりスネークを愛している?

 やっぱり『バッドガイズ』は最高ですね。何度観ても飽きない。観るたび深みに嵌る。沼か?

 ところで先日、私は「ウルフはスネークをどうしようもなく愛しているのではないか?」という妄想を書き記しました。だから最後の最後で、何が何でも離れ離れになりたくなくて、彼なら普段から何回も言っていそうな「愛してる」すらスネークに対してどうしても言えなかったのではないか、と。

 これ、強ち妄想でもないかもな、と見返していて思いました。

 

  • ウルフはスネークにだけ明確に想いを吐露しない

 確かにウルフはスネークに対して、個人的な想いを吐露したことがありません。大抵、彼は「仲間」に対する想いを口に出します。スネークに限ったものではありません。ダイアンしか居ない状況においてもなお、ウルフは「大切な友達を失った」と言うだけです。スネークが堂々とウルフのことを ‘the one guy’ と言っているのとは、対極的ですね。

 唯一ウルフの想いが垣間見える台詞は、 ‘You’re a sweetheart.’ でしょうか。ただ、そう言ったのも、ウルフ自身の想いというよりか、あくまでスネーク自身がどういう人か述べたに過ぎません。お前は皆に愛される人なんだ。そのようなスネークの評価に留まっており、ウルフ自身の直接的な心情の吐露とは言い難いでしょう。

 これは、スネークに「だけ」想いを吐露しない、とも言えるでしょう。最後も彼から「愛してる」とは言えませんでした。めちゃくちゃ不自然ですよね。ダイアンをも何だかんだ口説こうとしている人が、どうしてスネークだけには何も言えないんでしょうか。

 

  • ウルフの目は宝物を見る目である

 さて、明確に口に出さずとも、ウルフは確実にスネークを愛していると私は考えます。友愛ではありますが、愛は愛です。ウルフはスネークを愛しています。では、どこからそれが見受けられるでしょうか。

 目です。ウルフはスネークを見るとき、普段愛おしそうな目をしています——もちろんスネークを諌めるときは別として。まるで宝物を見るかのような目です。

 とりわけそれが現れているのは、誕生日のときです。ウルフが「おめでとう、スネーク」と声を掛けるときの目は、いつものようにクールでキザな薄ら笑いを浮かべる目ではありません。宝物を見る目です。

 彼の性格上、他人のお祝い事にはそれが当たり前なのでしょうか。どうなんでしょう。ダイアンに対してもクールでキザですからね。少なくとも友人に対して向ける目であるとは、一般的には言えない気がします。

 

  • ウルフは何故、喧嘩別れのシーンで目を潤ませていたのか?

 あるいは、この場面からウルフがスネークをどう思っているか分かるかもしれません。

 スネークがウルフに別れを告げるシーン。スネークが ‘the one guy’ と言い出したあたりから、ウルフの目は潤んでいます。ここで眉も耳も大きく垂れ下がります。とてもつらそうです。

 この場面について、最初は「仲間との別れがつらかったからではないか」と思っていました。が、よくよく考えれば、全員が離反する場面はもう少し前です。少なくとも、スネークの ‘the one guy’ で悲しみを顕にする必要はなかったわけです。であれば、ここで悲しみが出てしまった理由は何故でしょうか。

 もちろんスネークの台詞を受けて初めて仲間の痛みを知った、とも考えられます。それもあるでしょうが、それだけでないのは確かです。何故か。仲間の痛みだけに悲しんでいるのなら、あの場面でウルフは少しでも仲間の方を見るはずだから。しかしウルフはそうしていない。ただスネークだけをじっと見て、しかもスネークもスネークでとても悲しそうな顔をしているのを見て、目を潤ませています。

 だからあの場面では、仲間全体の別れに対する悲しさというよりも、スネークとの別れ、そして自分がスネークにしてしまったことへの悲しさに対して涙を浮かべていた、と考えるのが妥当であるように思われます。つまりスネークに対する何かしらの感情が、他の仲間に対するそれよりも上回っていた。

 そしてそれは、ウルフのスネークを見る目からすれば、愛なのでしょう。

 

●ウルスネやん!!!!!

 激重ですね。個人的にはスネークよりもウルフの愛のほうが重いように感じます。スネークは何だかんだ言うことは言います。言える愛より言えない愛のほうが重いものです。ウルスネやん!!!!!

 ただこうなると、先日立てた私の考察、つまりウルフは作品を通して自身の「弱さ」を受け入れた、という解釈が崩壊します。「弱さ」も何も関係なく、ウルフは徹頭徹尾仲間——特にスネークと離れたくない一心で、今回は奇跡が重なったから彼の「普通に暮らしたい」という願いを仲間やスネークが一緒のまま実現できた、ということで解釈できてしまいますから。

 詳しくは明日考察しましょうか。やっぱり『バッドガイズ』からは離れられないですね。彼らには一生仲良しのままで居てほしいです。共依存かもしれないですが。

 

●ウルスネは友愛、でもウルダイは実現するの?

 どうでもいいですが、私がウルスネを「友愛」と思っているのには、先日に述べた理由の他に、もう一つあります。それは、たぶんウルフはダイアンが恋愛対象として好きだからです。

 明確な描写はありませんが、彼はどこかダイアンを気にかけているところがあります。善き隣人の授賞式で護送車に入ってもなおダイアンを見ていたり、善の祝祭でダイアンを見て犯行を明らかに躊躇し出したり、脱獄後に真っ先に駆け寄ってダイアンの手を取ったり*1

 また、本来クールでキザな彼であれば絶対に見せないような顔を、彼はダイアンに見せています。善の祝祭でダイアンを避けたり、ダイアンに話しかけられて挙動不審になったり、ダイアンに悲しみを吐露したり。いくら善人になることを励ましてくれた相手だからといって、犯罪のプロである彼がここまで自分を曝け出してしまうものでしょうか。

 もちろん、全部勝手な憶測です。明確なことは言われていません。ただ、やっぱりウルフはダイアンについて、スネークとはまた違った想いを持っているように思います。そして、この場合は恋愛感情なのでしょう。

 ただ、ダイアンはウルフのことを本当に何とも思っていないようにも感じます。特にクリムゾン・パウの隠れ家での会話はそれが顕著で、彼女は一貫してウルフを慰めリードする立場であり、恋の匂いが一切しないものでした。ダイアンは文字通り一人で何でも出来てしまいますし、恋人を求めたことがあるのかすら疑問です。ウルダイは実現するのかしら。

*1:護送車の場面は、再度確認したらどちらかと言えば「楽勝だな」みたいな感じだったので除外します。でも、ウルフがダイアンを気にかけている場面は他にもあったような気もします