まどどブログ

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2022.11.25 『バッドガイズ』ミスター・ウルフについて⑩ / ウルフの行動原理は何か?

2022.11.25

 

 

  • 昨日のまとめと今日の話題

 昨日はウルスネとウルダイについて考察しました。そして、もしかしてウルフの行動は「スネークに嫌われたくない」という心理ですべて解釈できるのではないか、と示唆して終わりました。

 今日は「たぶん違う」ということだけ述べたいと思います。

 

  • ウルフの願い:人々に受け入れてほしい

 以前の記事でも書いた通り、ウルフは明らかに冒頭から「人々に自分たちを受け入れてほしい」という願いを持っています。彼の「俺たちは人気者になれない」という台詞、「化け物扱いは嫌だ、でも配られた手札で今を楽しむしか無い」という台詞、「俺はどの物語でも悪役」という台詞から、それは明らかです。明らかな描写として、彼はマーマレードとの接触以前から「人々に受け入れてほしい」と考えています。

 そしてその願いはバッドガイズの中で彼しか持っていません。他のメンバーにその素振りが無いこと、スネークの「人に愛されるなんて考えたこともない」という台詞や「別に悪役なのは構わない」という台詞から、他のメンバーはたぶん、少なくとも劇冒頭の段階でそんなことを考えていません。

 いや、劇の最後ですら怪しいものです。結局、他のメンバーは仲間のためだけに「善い」ことをしただけで、人々がどう思うかは動機として大きくないような気がします。

 つまり、ウルフは他のメンバーに無い「人々に受け入れてほしい」という願いを、誰にも言わずずっと抱き続けていたわけです。

 

  • 彼の諦観は自分で招いた諦観である

 ところで彼は劇冒頭、

「配られた手札で今を楽しむしかない」

 と言っています。彼は願いを抱くと同時に、諦めているのです。

 これはどちらかと言うと、やっぱり自分で自分の願いを押し殺しているような感じがします。スネークと別れたくないという心理が働いていると言うには、あの台詞はあまりに達観が過ぎます。明確な根拠は無いですが、あの様子は他の何かが原因で願いが達成できないというよりか、自分で自分の願いを押し殺しているというようなものであると考えます。だから、スネークの心理で一貫しているとは解釈できないのです。

 では、なぜ自分を押し殺しているのか。それは以前考察した通りで、彼は「悪いオオカミ」という人々に、何よりバッドガイズのメンバーに見せている顔を守ることで、いまの自分を守るためだったのだと思います。

 

  • はやく前日譚を出して!!!!!

 が、これはあくまで推測です。もしかしたら劇の以前に何かあって、彼は「人々に受け入れてほしい」と口にするのを諦めるようになってしまったのかもしれません。

 例えば、スネークが「俺たちに他の奴らなんか必要ねえ」とか軽口叩くのを耳にして、自分が更生したいなんて言ったら絶対に縁を切られると勝手に思い込んだから、彼自身はグッドガイになりたくとも、スネークと別れるのが怖くてずっと言えなかった、とか。ウルフは案外思い込みも激しいところがありますから*1、このくらいなら有り得そうです。

 ただこればかりは分かりません、前日譚が出ていないのですから。早く前日譚を出してほしい。彼らの人生を見たい。

 

  • 明日の予告:なぜウルフだけが「人々に受け入れてほしい」と願っているのか?

 ところで、私はTwitterである二次創作を見て、一つ考察が漏れていたことに気づきました。それは「そもそも何故ウルフだけが人々に受け入れてほしいと思っているのか?」です。

 ウルフだけがそう思っているのは散々述べてきましたが、確かに不自然です。彼らとて感情を持つのだから、ウルフと同じように思っていても不思議ではないのに、何故か劇中ではウルフだけの描写に留まっています。むしろ他のメンバーに関しては、その願いを持っていなかったような描写すら為されています。では、なぜウルフだけが?

 これは劇以前の問題であるため、確かなことは分かりません。ただ、その二次創作——ウルスネの出会いについて描かれたその作品に、私は答えを見たような気がします。原作かと思ったくらいに、本当に今まで出会った二次創作の中でいちばん原作の世界に寄り添ったものでした。

 明日はそれについて述べたいと思います。では、また。

*1:仲間も自分の考えを受け入れてくれると思っていたところとか、善い人になりたいと言ったらスネークに縁を切られると勝手に怯えていたところとか。