2022.12.07
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映画のコスパは最高
人間は依存しなければ生きていけない。そして私は最近、新たな依存先を見出した。煙草と、映画だ。
とりわけ映画というものは現代における娯楽として最も優れている。端的に言えば、コストパフォーマンスが他の趣味よりも遥かに良い。
そもそもコストパフォーマンスとは、費用対効果のことである。そして娯楽における「効果」とは充足感である。つまり娯楽のコストパフォーマンスを分析するとき、我々は費用と充足感の両面から、それを実行しなければならない。
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映画の費用
費用について。映画は一回に二千円ほど要する。実際は曜日を選べばもっと安くあげることもできるが、面倒だし、ドリンクやポップコーンなども考えて、平均一回二千円とする。毎日観たとして、月六万円程度で済む。
そして現実には、労働に身を投じている者であれば、毎日観ることは出来ない。このことを考えれば、月四万円程度と考えるのが妥当である。今やサブスクリプションもあるので、もっと安く抑えられるかもしれない。
旅行一回分にも満たない額だ。しかも二、三日で果てる。風俗やキャバクラであればもはや話にもならない。酒宴や交際に費やす金としても十分ではない。
しかし映画は違う。これだけあれば十分、主たる娯楽として据えることが出来る。
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映画の充足感
充足感について。映画から得られる充足感は極めて高い。というのも、映画はその実、五感と思考力と感性とをすべてバランス良く働かせなければならない娯楽なのだ。
視覚と聴覚はもちろんのこと、映画から想起させられることで嗅覚、味覚、触覚も作用する。また、映画は往々にして描写によって説明が省かれているので、我々は思考力によってストーリーの補完をしなければならない。さらに描写によって我々の感性すら自ずと動き出す。そして作用するもの同士が調和して初めて「映画鑑賞」は成立する。この充足感たるや。
加えて、映画には二時間程度を要する。一日二時間も充足感を得たまま潰すことが出来るのだ。無意味な生から目を反らすにはうってつけではないか。
無論、他の娯楽でも同様の効果は得られるかもしれない。が、私はその娯楽を知らない。本は思考力に重心が移りがちだし、漫画や音楽は特定の感覚に依存しがちだ。逆に旅行やスポーツであれば特定の感覚を失うし、現実が見えてしまう。
映画は違う。すべての機能を働かせながら現実を忘れる。いや、そもそも映画の世界が「現実」となるのだ。しかも健康を害さない。
- 映画は浪費の敵である
つまり映画とは、大きな充足感を安価に得られるものであり、コスパに優れている娯楽である。
さらに幸いなことに、映画観賞は我々を明らかに疲れさせる。我々は多かれ少なかれ疲弊する。そうなると、他に金のかかるような娯楽に手を出そうとも思えない。例えば毎日映画を観ている者は、そう簡単に旅行に出かけない。また映画は前述の通り、その世界そのものが「現実」となるので、他の娯楽で充足感を得る必要性も薄まる。
このようにして、映画は他の娯楽からの逃避行としての役割をも持ち得る。その逃避行は終に倹約を結ぶ。
と、私は現状で考える。
今後どうなるかは知らない。依存が終われば、また話は変わってくるかも。