2023.05.29(残216日)
五月、31日のうち29日の経過。残り2日、6.5%。
一年、365日のうち149日の経過。残り216日、59.2%。
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かわいい、かわいい、かわいい——かわいいの渋滞
この作品を語るのであれば、かわいい、それに尽きる。
それもただ、例えば少女漫画のように、人工甘味料のような甘さを帯びているのではない。この甘さはもはやサトウキビに直接かじりついているかのようなものである。魔族と人間——旧来、あるいはキリスト教において明らかな二項対立として捉えられるであろうこの二種を、調和させ、かわいいの渋滞へと昇華させている。人間を誘拐した魔族の話、と聞いて、これほどまでにかわいいものに結びつかれるものであろうか。
そもそも主人公の設定が秀悦である。眠ることに異様なまでの執心を見せる姫。強い女性、というのは最近のトレンドであるが、それを眠りに限定したものは目新しい。そしてそれに振り回される、心優しき魔族と神。心優しき、というところに目新しさはなくとも、とにかくかわいい。キャラクターデザインから性格から何からかわいい。かわいいのである。ハデスもポセイドンもゼウスも!
とにかくかわいい。人間と魔族、そして神という、少しでも間違えればとたんに戦に走ってしまいそうなテーマであるにもかかわらず、そのかわいさは尽きるところがない。いやむしろ、我々の抱くステレオタイプが一層かわいさを機能的に際立たせている——それが『魔王城でおやすみ』であると、私は思う。