2023.05.31(残214日)
五月、31日のうち31日の経過。終了。
一年、365日のうち151日の経過。残り214日。58.63%。
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狂気に次ぐ狂気——人妻としての『淫獄団地』
何故この漫画を、そう思った方も居るかと思う。他の並み居る傑作を差し置いてなお私が好むと声高に叫ぶ作品——それが『淫獄団地』である。
何故好むか。
ただただ、狂っているから。
そもそも「人妻」が一種の属性——アメコミにおけるヒーローのようなものとして扱われている時点で笑いは飛び出してしまうのであるが、その他の点においても、何かと可笑しい。人妻をランク分けしていること、ランク付けサイトの運営人妻がアフィカス呼ばわりされていること、人妻がC4爆弾を繰り出すこと——各話、どのページを開いても、笑いの起こらないところがない。そこまで笑える漫画は限られていることだろう。それ相応の技術を要する。それを『淫獄団地』は成しているのである。
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狂気の中に垣間見える精緻——漫画としての『淫獄団地』
では狂っているだけか。
そうではない。かの漫画の特筆すべきところは。狂っていながら、漫画という一つの娯楽としてもまた楽しめる作品であるというところにある。
そう。狂っているだけの漫画であればそれなりにある。『テコンダー朴』は好例であろう。散々ネットで使い回されているかの作品であるが、では漫画として面白いか、と言われれば、どうであろうか。少なくとも私はそう思えなかった。
『淫獄団地』は違う。『淫獄団地』はストーリーが非常にしっかりしている。ストーリーだけではない。登場人物の個性もまた確立されていて、キャラクターの言動に矛盾や重複が無い。そして何より、表現力に優れている。壁尻でありながら主人公は泣いている——それを一つのコマの中で見せられることになると、私は知る由もなかった。
そもそも、である。人妻を超人的能力として据えたこと自体、商業誌において例を見なかったのではないだろうか。『淫獄団地』はそもそも、漫画における開拓者なのである。
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総括と余談
面白い。『淫獄団地』は。エロ漫画の系譜として狂気に満ちた台詞を多用しつつ、細やかな描写によって漫画としての質もまた同時に高められている。狂気と精緻の二重奏——それがこれほどまでに享楽的であるとは!
余談だが、あまりの感動に、電子書籍では飽き足らず、紙媒体でも入手した。この漫画はおそらく、歴史的作品となることであろう。その目撃者と相成ったこと、宇宙に感謝する。