まどどブログ

普通の二十代前半男性が、夢を見るか、破滅するか。そんな人生ドキドキギャンブルの行く末を提供しています。

2023.09.22(残100日) 創作動機

2023.09.22(残100日)

 

 九月、30日のうち22日の経過。残り8日。26.7%。

 一年、365日のうち265日の経過。残り100日。100日。27.40%。

 

 

●創作動機

 昨日は自分に酔って威勢よく決意を宣べたのであるが、冷静に考えてみたい。

 私はなぜ書くか。なぜ創作者でありたいか。それは、たぶん、開拓者精神から来ているのだと思う。

 仮に先祖の願いが遺伝子に組み込まれているのだとすれば、私は開拓者と地主の精神、破壊願望と必然的守旧とを併せ持つこととなる。父方は千島開拓民と津軽地主の、母方は満洲開拓民と肥後地主の系譜だ。しかも、父は独り上京し、母は地元で暮らしている。血に逆らえないのだとすれば、私がすべてブッ壊したくなるのと同時に、すべて守りたくなるのも、頷ける。

 ――冗談はさておき、あくまで私の問題として、開拓者精神が宿しているのではないだろうか。

 昔からそうだった。退屈なことは嫌いだった。ルーティンワークも大嫌いだったし、何かしらまとわりつく「議論」なんかも大嫌いだった。私はとにかく、前に進むタイプで、基本的に何かしていないと気がすまないタイプではあった。私は常に何かを求めていた。新しい何か。心躍る何か。未知なる何か。ニュー・フロンティア。

 だからこそ、私は若くいられた。睡眠が好きだった。食事が好きだった。旅行が好きだった。ドライブが好きだった。社会活動が好きだった。映画が好きだった。セックスに夢を抱いた。恋愛に夢を抱いた。あるいは未体験のもの、例えばドラッグなんかに、夢を抱いた。

 すべて飽きてしまった。飽くこと――中古の意味において――を覚えた。旅行もドライブも社会活動も映画も、もう既にそれほど未知であるとは思えなくなった。セックスも恋愛も大したものではなかったし、あらゆる社会活動、ドラッグにおいてさえも、すべて想像と、YouTubeと、Twitterで補われてしまう。そして私は失望するのだ。夢を抱くほどのものではなかった。

 現実世界はそこまで面白くなかった。基本、特定の要素に収斂してしまう。楽しい、ふわふわ、おなかいっぱい、痛い、寒い、苦しい、眠い、そして死。

 では残されたフロンティアは?

 現実から出るほかない。かつて人類が南極を目指したかのように、私は未知なる世界を目指したい。区画整理の済んだクソほど退屈な現実を離れて、荒野たる人生を切り拓く。退屈な人生をブッ壊す。かつて先祖が成したように――これが私の動機であると思う。

 

●なぜ同じことを二度も言うのか?

 これを読んで、もしずっと私をフォローしている方がいれば、思うことがあるだろう。

 このクズ、前も同じこと言っていたじゃねえか。

 確かにそうだ。私は前も、まったく同じ言葉「ニュー・フロンティア」を用いて、創作動機を語っていた。行動に移さなかったのだから、騙っていたに等しい。ではなぜ、厚顔無恥に同じことを繰り返すか?

 一つ、悟りがあった。我々は初めから居ない。自我は無である。その悟りを、絶望に打たれながらも、私はなんと絶望を昇華せしめた。たとえ死が待っているとしても、私はどうしようもなく一人の人間で、アリや石や月と対置された一つの個として、私は生きなければならない。生きるということは、切り拓くということである。故に私はフロンティアを目指す。最初から居なかったとしても、あるいは超然的何かが私を決定しているとしても、私は大好きな私が在ることを信じているのだから、生きる。これが言語化された。

 もう一つ――こちらが大きい、アンドロメダのように――私の夢は破れた。私も普通に生きられるのではないだろうか。そんな夢を、高校を卒業してからずっと、捨てきれなかった。私の家系は開拓者であると同時に、地主である。そして、いま、私は物理的に地主の系譜に近い――

 いや、周囲のせいにしてはいけない。私は出来ることなら、普通に生きていたかった。だって、普通が最も生きやすいのは間違いないから。何も文明批判ではなくて、効率化された近代社会、いやそもそも種としての動物にとって、最大多数に即して社会システムを構築するのは、極めて合理的な選択である。普通に働いて、普通に結婚して、普通に子を作って、普通に死ぬ。多様性社会とはいえ、社会全般としてこれが多数派の願望であることに変わりはない。そうして生きていられるのであれば、そういう人生を前提として社会システムは作られているのだから、生きやすい、言い換えれば艱難が少ないことは、容易に想像できる。私は何も茨の道を歩みたくて生きているのではない。幸せに生きていられればそれでいい。

 そして、それはどうにも叶いそうにない。私は普通に生きていられそうもない。性的指向がどうであれ、性格がどうであれ、そんなことは関係ない――我慢ならないのである。退屈な人生が。判で押したように、やれ社会貢献だとか、やれ結婚だとか、やれ博士だとかやれ弁護士だとか、やれ労働だとか、決まりきった人生が。末路の見える人生が。破滅的に楽しくないと、私の心は、開拓者精神は押し潰されていく一方だ。

 

●忘れるな、書いてしまう私を

 それに、どうしようもなく、私は書いてしまう。書いていて楽しいと思うことはないが、書いていなければ苦しい。眠りが好きでも、旅行が好きでも、Twitterを日がな一日眺めているような日々に幸せを見出していても、数ヶ月も経てば、私は何かを書いている。何かを想像している。何か材料を探している。何か決意している。

 であれば、もう、徹頭徹尾、虚勢を張るのも諦観に逃げるのも嫉妬に駆られるのもやめて、それに貞操を捧げてしまうのが良いだろう。わけもわからず裸体を剥き出しにするアクション大物俳優のように、私は厚顔無恥に、創作を信奉しなければならない。

 

●赤子のおきて

 さて、威勢のよいことを言ったので、夢見るガキのままで終わらないよう、私は規定を設けたい。もう退路がないのだから、簡潔に。

0.復活。二十三歳で死んで、二十四歳で再び生まれた。君は赤子である。

1.行動。とにかく行動。行動しなきゃ知識も決意もモチベーションも何の価値を持たない。赤子は動いている。

2.行動。とにかく行動。考える間もなく行動。思考は怠惰の逃げ道でしかない。行動しながら考えれば良い。赤子の思考は後から来る。

3.完成。とにかく完成。ここ書き直そう、とか、こんなクオリティじゃ出せない、とか、これ分からない、とか、これ調べなきゃ、とか、そういうことを考える間もなく、完成。手直し・葛藤・リサーチは完成させてからでいい。完成しなければ何の価値もない。赤子は止まらない。

4.プライド。捨てなさい。赤子がプライドを持ったらすぐに死ぬ。この文脈で、実益は当然、後回しとされる。成功はプライドの申し子であり、怠惰の逃げ道である。

5.ノウハウ。ノウハウは盗む。むしろ盗むために生きる。書籍、漫画、SNS。技術、心構え、生活習慣、悩み、悲劇、昇華。とにかく盗む。赤子は盗んで生きる。

6.息抜き。息抜きは創造的に、観察として。美術館、博物館、旅行、書籍、映画、漫画、あるいはSNS――なんでもいいが、観察のため。それが君の人生ではない。君の糧として、心を開いて対話する。しかし息を抜くなら息抜きに専念せよ。こればかりは、赤子たりえない。

7.強迫観念。己を脅迫。楽しくとも楽しくなくとも関係ない。眠かろうと疲れていようと、絶望しようとも、ただ行動。ただ完成。休憩すら覚えないほど。兵士は塹壕の中では戦わなければならないし、同様に赤子は面倒だからといって絶食しない。休憩もまた、怠惰の逃げ道。「無理はよくない」とか「自分の時間」とかも同様。怠惰は地獄の門のようで、君はとことん清廉に努めなければならない。

8.ふりかえり。なんでも振り返る。決意、苦悩、あるいはノウハウ本。行き詰まったら繰り返し繰り返し、読み直す。見返す。そうして、突き進む。

9.開拓者。開拓者たれ。開拓者精神を忘れるな。君は開拓者。退路はない。前も後ろも荒野のみ。荒野を切り拓く。そして退屈な人生をこの手でブッ壊す。

 

●おわりに

 これだけ恥ずかしいことを言い仰せたのだから、行動しなければならないね。これで何も遺せなかったのなら、あまりに悲しい。