2023.10.13(残79日)
十月、31日のうち13日の経過。残り18日。58.1％。
一年、365日のうち286日の経過。残り79日の経過。21.64％。
●陶酔との上手な付き合い方
人間は誰しも陶酔に陥る。それは人間が酒を好むのと同じところから来ている。人間は正気を好まず、狂気に堕ちることを望む。云うなれば絶望なのである。人間はみな、絶望ばかり追い求めている。そして私も人間である限り、絶望を殺すことは何よりも難しい。
さらに陶酔とは、言い換えれば預言者でもある。誰かの上に立つこと、それは陶酔にほかならない――何故ならば人間は肉であるのだから。陶酔に身を委ねてでも居ない限り、肉が肉であることを知りながら誰かの上に立とうなど思いもしないのである。陶酔とは絶望でありながら、その実、人間社会においては何よりも求められるものなのである。
ではどうすれば、陶酔と上手に付き合っていられるか？
●自己陶酔の排除の仕方：客観的根拠を持つ
陶酔と上手に付き合うこと――それはただ一つの目的に集約される。
自己陶酔を捨てること。
では自己陶酔とは何か。
根拠なき自信である。
私には天賦の才がある。私は彼らのようにあくせく働く運命ではない。私は今にだってここを抜け出せる。私は今すぐにでも、私を取り戻す。私の望みはすべて叶う――
根拠は？
これに根拠があるのであれば素晴らしい。それも客観的な根拠が。世界大会で優勝した。応募したら必ず受賞し、それだけで食べていける。麻薬カルテルを牛耳っており、大統領も思いのままである。ショタチンポを啜っても誰一人として手出しできない――こういう、客観的に正しい根拠が彼の中にあるのであれば、それは自己陶酔と呼ばない。
それ以外はみな、自己陶酔である。
政治は私たちの力で変えられる。世界は私たちの手で平和にできる。この国は、世界は、私たちの力で――
自惚れるなよ。お前はただの虫けら、踏み潰されようと誰一人として気に留めない虫けらだ。どんな主張、どんな崇高な主張であろうとも、そこに客観的根拠が無いのであれば、明らかに自己陶酔である。の付き合い方とは簡単なこと――自己陶酔を捨てること、言い換えれば、客観的根拠を持つこと。これだけだ。
●凡人にとっての「客観的根拠」とは？
ただし、これでは矛盾が生じると思うかもしれない。著名人がこの世に存在しているのは何故か。単なる一市民から大成した者も在るではないか。
もちろん、矛盾は生じない。彼らもまた客観的根拠を持って、著名人であるのだから。
努力である。それも、目的に向かって合理的に設定された努力。
現状を客観的に把握し、目的との距離を測って、合理的に経路を定めて、忠実に、たとえ歩の遅くとも着実に、血に溺れるほど、進み続ける。
そしてこの全過程には客観性が付与されている。
●「客観的」とは？
ここで「客観的」の定義をしなければならない。客観的であるもの、というのは何も実績のみを指すものではない。客観的であるものとは、他者の目に明らかであるものを指す。その中の一つに実績や、家柄や、育ちがあるに過ぎない。
では凡人にとっての客観的なものとは？
理論である。
なぜ、自分はこれをしているか。
なんのために、この行為があるのか。
目的にとって、現状はどのように利用できるか。
これをよどみなく滝のように語ることが出来る。聞いている他者を、ああ確かにそれなら、と納得させられる。少なくとも、理性の面においては論駁を許さない。この理論こそ、凡人にとって客観性を担保するものである。
●戦略を策定せよ
現状把握。目的の設定。距離の測定。経路の設定。そして前進。その全過程が理論的に、第三者からみても明快であるように。
この果てに、大谷翔平が、チャールズ・チャップリンが、立っている。
ちなみにこれを戦略と謂う。経営学の知識がここで役に立つとは思わなんだ。
●余談
政治は私たちの力で変えられる。
根拠は？
民主主義だから。
おお――知能すら虫けらとは！ それなら国民の過半数が「私たち」でなければならない。せいぜい国民の0.5％が「私たち」となったところで、その「私たち」は何ら国政を動かす権利を持たない。クーデターでも起こすつもりなのかしら。しかしそれならそれで、軍事権を抑えていなければならぬ。それすらもどうせないだろう。故に政治を変える根拠に欠ける。根拠なき自信とは自己陶酔である。自己陶酔とはシンナーのようで、脳までスカスカにしてしまうらしい！
