2023.11.03(残58日)
十一月、30日のうち3日の経過。残り27日。90.0%。
一年、365日のうち307日の経過。残り58日。15.89%。
ときおり私の後頭部を、銃が捉える。
銃はきまって陶酔のさなかにやってくる。彼らは誤っている。私はこれほど優れている。世の連中はまったく――かちり。冴えきった音が私の後ろで冷たく響いて、熱されて不全になった視覚野を冷ましていく。そして私は何かが、後頭部を圧しているのに気付く。僅かな髪が塊と触れ合ってちりちりと皮膚を逆撫で、触覚がこそばゆさを酩酊の私に伝える。やがて、しんみりとした金属の臭いが、あたり一面に充満してくるのである――聴覚。視覚。温覚。触覚。嗅覚。私は思い知るのである。肉体の牢獄を。
他者が何を思おうと、あるいは私が何を思おうと、それは肉体でしかない。市場に並ぶステーキと同価でしかない。貴方も私も安倍総理なのではない。貴方も私もステーキに他ならないのである。故に安倍総理は凶弾に倒れ、私は銃に慄く。
であれば、私はどうするべきであるのか?
忘れるな。忘れてはならない。君は誰かのヒーローであるか。教本たりうるか。師匠たりうるか。精神的支柱たりうるか?
ヒーローであるならば恐れるな。教本ならば迷うな。師匠ならば誹るな。
精神的支柱であるならば、正しさを信じよ。
君が正しいと信じるのであれば、君は正しい。正しいのであれば、誰が何を言おうとも、未来が何を言おうとも、果てに君自身が怯えていたとしても――君は動物として正しいのである。
正しく生きよ。正しさを信じよ。誰かの未来であれ。もし、そうでないのであれば――幻影は実体を持って君を貫くであろう。
●追記
人間が苦手であるのは、私が海葡萄のようであるからに他ならない。色さえも、そして中身さえも、海に溺れてしまうのである。
ところで今後は日記において、このようなスタイルを採用することとした。つまり評論家ではなくて作家を望んだ、その夢に回帰するのである。